童謡伝道マガジン「ふんふん」H・U・N企画

ダークおじさんと童謡の世界

2017.2.18ダークおじさん

歌声コミュニティ~童謡で日韓の姉妹がつながった~



「歌声コミュニティ」こんなタイトルの歌声喫茶を毎月開催しているお寺があります。JR大阪環状線 寺田町駅の近くにある「瑞光寺(ずいこうじ)」です。
ピアノは大北整子(なりこ)さん。学生時代に歌声喫茶「どん底」や「こだま」でピアノ弾きのアルバイトをされ、今はご自分のお店「パブ ピープルズ」で、歌声喫茶を定期的に開催したり、「ふんふんさろん」などの歌声の人気のピアニストでもあります。

「瑞光寺」のご住職 奥 共海(きょうかい)さんと大北整子さんは小学時代の同級生で、「歌で地域の人と交流を深めたい」とのご住職の思いから、ダークおじさんと毎月第1日曜日にお寺の本堂で開催しているのです。

親の介護の合間を縫って、歌いに来られるYさんご夫妻。シルバーカーを押して来られる90歳のNさん。認知症の奥さんとご一緒に来られるAさんご夫婦。ご主人が亡くなって、しばらく家に閉じこもっておられたKさん。熊本県のご出身で「思い出の曲だ」と、毎回積極的に童謡をリクエストされるHさん。どなたも歌うことを楽しみに参加されています。

高 仁順(コウ・インスン)さん(80)もそのお一人です。彼女は特に童謡がお好きで、昨年夏に韓国へ行った時のことを皆にお話されました。
高さんのご両親は、韓国済州島から日本に渡って来られ、大阪市此花区で生まれた5人姉妹の長女で、在日2世。大人になって他の妹さんらは、両親と共に母国へ帰りましたが、高さんだけが結婚して日本に残られたのです。

昨年の夏、妹さんらが住むソウルへ『歌い継ごう日本の童謡~春夏秋冬(もり・けん著)』を持って、韓国へ飛んだのです。「歌声コミュニティー」で歌っている童謡をお姉さんらと歌ってきたそうです。「あれから何年も経ったけれど、子どもの頃に歌った童謡はいつまでも覚えていて、歌集のはじめから順番に歌い、時間が経つのも忘れ、歌集のほとんどの曲を歌ったと嬉しそうにお話されました。

日本の童謡をきっかけに5人の姉妹が心のふれあいができ、きっと大阪で一緒に遊んだ頃の思い出が、頭の中に走馬灯のように駆け巡ったことでしょう。

文/ダークおじさん 筒井幹夫(65)
学生時代は、グリークラブ(男声合唱団)に所属。卒業後、青少年育成専門団体に携わり、学校キャンプ、ファミリーキャンプを担当する。ここで、歌が大きな力になることを体験する。
現在、ふんふんさろんシニアスタッフ。大阪童謡くらぶ会員、歌声喫茶ピープルズリーダー。