童謡伝道マガジン「ふんふん」H・U・N企画

ダークおじさんと童謡の世界

2015.12.6ダークおじさん

童謡は、「無形文化遺産」級かも?



≪来年の干支は「申・猿」≫
♪お山のお猿は毬が好き
 とんとん毬つきゃー踊りだす
 ほんにお前は道化もの

「みんなで歌う童謡・唱歌の会」の12月の例会では、「♪おやまのお猿」と「♪お猿のかごや」を唄う予定をしています。この2曲は高齢者の方々なら、きっちりと唄うことができるはずです。

≪今年の干支は羊「♪メリーさんの羊」でしょうか?≫
干支の動物が登場する童謡を探すの楽しいですね。
「子・ねずみ/♪ずいずいずっころばし」
「丑・うし/♪べこの子うしの子」
「寅・とら/♪トラのパンツ」
「卯・うさぎ/♪うさぎのダンス」
「辰・竜/こいのぼり」
「巳・へび/♪??」
「午・うま/おうま」
「未・ひつじ/メリーさんのひつじ」
「酉・とり/赤い鳥小鳥」
「戌・いぬ/♪犬のおまわりさん」
「亥・いのしし/???」。

「へび」と「いのしし」が思いつきませんが、犬で思いつくのが「犬のおまわりさん」のほかに、北原白秋の詩にこんな歌があります。

「犬のお芝居」
ちゃっぽんちゃっぽん ちゃっぽんぽん 
ちちんが ちりちり ちゃっぽんぽん
小犬がひょこひょこ立って出た
緋染の手拭 頬かむり
 
≪成田為三を知って名曲に出会うことも≫
軽妙な犬の芸を白秋が詩にして、山田 耕筰と成田為三が作曲していますが、「みんなで歌う童謡・唱歌の会」の今年5月の例会では、作曲家成田為三を特集して、「♪浜辺の歌」「♪カナリア」「♪赤い鳥小鳥」などと併せて、「犬のお芝居」(大正8年)を歌いました。

同時に「♪鳰(にお)の浮巣」(大正14年)という曲もみんなで歌いました。
さすがに、「犬のお芝居」「鳰の浮巣」をご存知の方は皆無でした。


♪鳰の浮巣に灯がついた
 灯がついた
 あれは蛍か星の尾か
 それとも蝮(まむし)の目の光

♪蛙(かわず)もころころ 啼(な)いている
啼いている
ねんねんころころ ねんころよ
梟(ふくろ)もぽうぽう 啼き出した

鳰とはカイツブリのことで、「鳰の湖(うみ)」は琵琶湖の異称。
夜、浮巣に光るのは、蛍か卵を狙っているマムシの光る目だろうかと詩っています。

大正時代に作られ100年近くの時が経っていますが、童謡・唱歌を今いろいろ調べていると、「鳰の浮巣」のような名曲に出くわすことがあります。
ユネスコに「無形文化遺産」がありますが、能楽、人形浄瑠璃文楽、歌舞伎などが登録されています。しかし、先人が子どもにために創作した童謡・唱歌も同じように登録されてもいいかもしれませんね。優れた日本の文化遺産です。

≪WEBで聴くことができる時代≫
今は便利な時代で、ネットのyoutubeで「童謡」を聴くことができます。
先日「♪おやまのお猿」を検索すると、島倉千代子が11歳でSPレコードに吹き込んでいるのがヒットしました。
「♪鳰の浮巣」は、機械の女性の音声「初音ミク」が歌っていましたよ。

童謡・唱歌の世界に、新しい風が吹いてきそうなそんな予感がします・・。

文/ダークおじさん 筒井幹夫(65)
学生時代は、グリークラブ(男声合唱団)に所属。卒業後、青少年育成専門団体に携わり、学校キャンプ、ファミリーキャンプを担当する。ここで、歌が大きな力になることを体験する。
現在、ふんふんさろんシニアスタッフ。大阪童謡くらぶ会員、歌声喫茶ピープルズリーダー。