童謡伝道マガジン「ふんふん」H・U・N企画

今夜のお話なあに

2019.3.2今夜のお話なあに

ひな祭りの始まり

 昔、中国の漢(紀元前206年~紀元後220年)の時代に、除肇(じょちょう)という人がいました。
除肇のお嫁さんは3月の初めに、3人の女の子を授かりましたが、3日以内に3人とも死んでしまいました。娘の死を悲しむ除肇を見ていた村人たちは、何かのたたりに違いないと、お酒と川の水で3人の体を清めて水葬をしました。
 その後、災いを除くため、3月3日には水辺に出てお祓いをして、宴会を催す風習が生まれました。これを、中国では、上巳節(じょうしせつ)といいました。五節句の一つですね。(※下記参照)
 平安時代の頃には、その風習が日本にも伝わり、3月3日にお祓いをするようになりました。
 その後、自分の身に降りかかる災難をさけるために、息を吹きかけた紙の人形を川や海に流すようになりました。ここから災厄を祓うという風習が生まれます。これが地域によっては現代でも行われている「流しびな」の始まりです。
 その頃、貴族の家で流行っていた「人形を使ったままごと」、つまり子どもたちのままごとを「ひいな遊び」といい、江戸時代の子どもたちの間でも大流行になっていきました。
 この、ひいな遊びにはある特徴がありました。
遊びで使う人形は、必ず男の人形と女の人形の2つの人形を対で使っていたということです。これがお内裏様(男雛と女雛)が、必ず対で飾られる原型になったとされています。

※五節句とは
季節の節目に設けられた節句で、すべて奇数の重なる日が選ばれています。
 奇数を縁起の良い数字(陽の日)、偶数を縁起の悪い日(陰の日)とする、中国の陰陽五行説から伝わった習わしで、日本古来の年中行事と結びついて、現在でも継承されています。
〇1月7日 人日(じんじつ)、七草の節句。
 古来、中国では、正月1日鶏、2日犬、3日豚、4日羊、5日牛、6日馬、7日人の日で、犯罪者に刑罰を行わない日とし、七草の汁物を食べたことが、日本の平安時代に七草粥に。
〇3月3日 上巳(じょうし、じょうみ)、桃の節句。
〇5月5日 端午(たんご)、菖蒲の節句。
 5月初めの午の日。5と午(「ご」と読み)、男子の節句で、5月5日に菖蒲(勝負にかかる)湯に入り、邪気を払った。
〇7月7日 七夕(たなばた、しちせき)、笹の節句。
 中国の裁縫が上手になるように祈る「きこうでん」と、日本の『古事記』に登場する棚機津女「たなばたつめ」が合わさった。
〇9月9日 重陽(ちょうよう)、菊の節句・
 中国の「菊を鑑賞する行事」が、平安時代に日本に伝わり、「菊華宴」が催されるようになった。

文/もり・けん
1951年大阪市生まれ。
長年勤めた幼児教育出版社を
43歳で退社し、モンゴルに渡る。
自然に添うように生きる遊牧の暮らしを学び帰国。以後モンゴルの正しい理解と亡くしてしまった日本の心を取り戻せと訴え続ける。

日本の童謡の普及のため、作詞(新しい童謡の創作)、演奏(昔からある良い童謡の伝承)の両面で展開、全国各地を講演、ハーモニカによるコンサート活動は海外にも及びモンゴルを始めロシア、中国、北欧のフィンランドやスウェーデンなどの子供たちとも交流している。

文部科学省の財団法人すぎのこ文化振興財団の環境ミュージカル「緑の星」をはじめビクター「ふしぎの国のアリス」などを発表、絵本、童話、童謡など子供のための創作活動をしている。

現在、日本音楽著作権協会会員、日本童謡協会会員、詩人、ミュージカル作家、作詞家、ハーモニカ奏者。梅花女子大学、朝日カルチャーセンター、読売文化センター、ヤマハ音楽教室などの講師を勤める。