童謡伝道マガジン「ふんふん」H・U・N企画

今月の童謡

2017.05.07新着今月の童謡

からすの赤ちゃん

からすの赤ちゃん
海沼實 海沼實
1 からすの赤ちゃん なぜなくの
こけこっこの おばさんに
あかいお帽子 ほしいよ
あかいお靴も ほしいよと
かあかあ なくのね

2 めえめえ山羊(やぎ)さん なぜなくの
お里の 母さんに
おねむに なったよ
あまいおっぱい 頂戴ねと
めえめえ なくのね

3 迷子の鳩さん なぜなくの
みみずく おじさんに
夜路(よみち)は こわいよ
ほおずき提灯(ぢょうちん) かしとくれと
ほろほろ なくのね

4 狐の赤ちゃん なぜなくの
三日月 おばさんに
木(こ)の葉でかんざし 買っとくれ
小石で花ぐし 買っとくれと
こんこん なくのね

からすの赤ちゃん
「なぜ、ないているのか?」をテーマにして動物をいろいろ登場させたかわいい歌です。子どもによくある行動、ほしいものがあったら「ほしい、ほしい」となくという子どもにはよくあるテーマを楽しく、つないで作られています。
 この歌は作詞作曲ともに、海沼 實さんですが? もともと作曲が専門の方が、作詞も担当した珍しい作品です。それには次のようなエピソードがあります。
 海沼 實は、1932年(昭和7年)に上京して東洋音楽学校(現 東京音楽大学)に学び、護国寺に音羽ゆりかご会を創設しました。「お猿のかごや」を出した頃、同郷の作曲家草川 信に師事して作曲を学びました。「からすの赤ちゃん」は、もともと「仲良し小道」を書いた作詞者三苫やすしの作品「なぜ啼くの」に作曲したのですが、作曲者細田義勝による作品が一足先に世に出てしまったため、海沼は、同作品に即興的な作詞を施して発表したものといわれています。発表時は、三苫に遠慮して作詞者名は矢島邦子としていましたが、これは母方の叔父に当たる矢島邦をもじったものでした。それが戦後、自らが創設した児童合唱団「音羽ゆりかご会」によって改めて日本蓄音器(後のコロムビア)からレコード化されて大ヒットとなったのです。「音羽ゆりかご会」は、戦後日本放送協会の嘱託として、東京放送児童合唱団の別称でも活動し、ラジオドラマ『鐘の鳴る丘』の主題歌「とんがり帽子」などを担当。戦後の童謡ブームにおいて中心的役割を果たし、川田三姉妹(正子、孝子、美智子)らの童謡歌手を輩出しました。
(日本童謡協会会員 もり・けん)


今月の童謡を皆さんで歌ってください。園、学校、グループでの歌唱、演奏の様子を映像で送っていただけますでしょうか。

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