童謡伝道マガジン「ふんふん」H・U・N企画

今月の童謡

2019.10.3新着今月の童謡

里の秋

里の秋
斎藤信夫 海沼實
一 静かな静かな 里の秋
お背戸(せど)に 木(き)の実の 落ちる夜(よ)は
ああ母さんと ただ二人
栗の実 煮てます いろりばた

二 明るい明るい 星の空
鳴き鳴き 夜鴨(よがも)の 渡る夜は
ああ 父さんの あの笑顔
栗の実 食べては 思い出す

三 さよならさよなら 椰子(やし)の島
お舟に ゆられて 帰られる
ああ 父さんよ 御無事(ごぶじ)でと
今夜も 母さんと 祈ります

里の秋
 この歌は、1945(昭和20)年12月24日、ラジオ番組『外地引揚同胞激励の午后』の中で、引揚援護局のあいさつの後、川田正子の新曲として全国に向けて放送されました。放送直後から反響があり、NHKの電話は鳴りっぱなしだったという話があります。
 そして、翌年から始まったラジオ番組『復員だより』の曲としても流れました。
 今回は、この歌の元歌の話をしましょう。
それは『星月夜』(ほしづきよ)といいます。作詞の斎藤信夫がまだ国民学校の教師をしていた1941(昭和16)年12月、太平洋戦争の始まりを報せる臨時ニュースに高揚感を覚え、その思いを書いたといわれています。
 1・2番は『里の秋』と同じですが、3・4番は父さんの活躍を祈り「僕も国を護る」という内容です。この詩は、海沼に送ったものの、曲がつけられることはありませんでした。
 そして、終戦となり、海沼はNHKから番組に使う曲を依頼され、要望に合った歌詞を探して見つけたのが『星月夜』でした。
 でも、そのままの歌詞では使えないので、海沼は斎藤に電報を打ちました。戦争で戦うように教えていたことに責任を感じた斎藤は終戦後、教師を辞めていました。
 電報を受けた斎藤はすぐ海沼に会いに行き、『星月夜』の歌詞を書き変える作業を始めますがなかなか進まず、曲目が『里の秋』に変えられたのも放送当日でした。

  今月の童謡を皆さんで歌ってください。園、学校、グループでの歌唱、演奏の様子を映像で送っていただけますでしょうか

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